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倫理

社会契約説とは

社会契約説とは、国家権力は平等な個人相互の契約によって形成されたものと考える学説です。まず、政治社会が形成される以前の状態(自然状態)を想定して、人間が生まれながらに持っている権利はどのようなものかと問い、自然状態のままだと人々が争いあうなどの不都合が生じるので、人々が約束によって国家権力を形成したのだと考えるのです。これは、歴史上そういう事実があったのかどうかという話ではなく、一つの思考実験なのです。そして、人間は自然状態にあって自由平等であることを前提に、各人が生まれながらにもっている権利を基礎として、国家の形成を理論化したわけです。
そのなかでも、ルソーは社会契約とはつねに公共の利益を目指す、一般意志というものを形成して、すべての人がこれに全面的に従うという、そういった約束のことだとしました。一般意志とは、私益を求める特殊意志を単によせあつめた全体意志とはちがい、人間の道徳的な本性があらわれたものだとされます。一般意志は、全人民が直接参加して形成する、そういった意志であり、これこそが国家の主権なんだというのです。人民の投票によって選ばれた政府というのは一般意志の表れである法を執行する機関に過ぎないわけです。だから、政府がこの一般意志に反するのであれば、人民はこれを解任する権利を持つということをルソーは主張したのです。これは実に画期的で独創的な思想です。

2024/8/5