新しい学びのカタチ
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そんな塾です
平和を祈りつつ

漫画・ゲームの暴力シーンは人を暴力的にするか

 生徒たちに漫画をすすめられても、暴力シーンがいやなので私は読めない。ああいうのって、大丈夫なの? 
 この問題は、暴力がそこでどのように描かれているのかによるらしい。単に爽快なシーンとして描けば刺激や興奮を一時的にかき立てるだけだが、暴力の危険や不合理として描けばむしろ暴力行使を抑止する効果になるというのだ。 戦いのヒーローに子どもたちがあこがれるのは、その残酷な行為にではなく、ヒーローの勇気や知恵・技量に対してであり、自分の代わりにすごいことをしてくれるからかっこいいし痛快なのだろう。見るものは、争いや戦いの悲惨さをそれぞれなりに理解しながらも、他面で戦うヒーローの勇敢さや強さに憧れたり共感したり感情移入する。退屈しているから刺激を求めるとか、人間の本能が暴力的だからとかいうのは単純な説明なんだろう。
 もちろん人によっては暴力シーンで攻撃性が一時的に高まることはあるらしい。しかしそれが現実の暴力行使や犯罪の原因になるとは言えないとのことである。家庭環境・ストレスなどの心理状態・社会的矛盾・孤立などの諸要因と絡み合って、犯罪に至るケースが多いようだ。むしろスポーツやゲームは、ストレスを発散させたり、ルールと安全性の内でのスリルと興奮を感じさせることで、現実的な暴力行使を抑止することもある。漫画やアニメも、それぞれが暴力をどのような視点・価値観から描いているのかを批評・吟味する必要があるのだろう。僕はやんないけど。
 たしかに人間はこれまでもいまでも戦争や争いを繰り返してきた。世の中から暴力を縮減し、平和な世界を実現してゆくためには、多面的で複雑な人間理解を深め、教育・文化・社会制度をよくしてゆくしかないと思う。戦後80年の終戦記念日にあたって、平和を祈りつつ。

2025/8/15