日本国憲法は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を明記している。その実現のための日本の社会保障制度は、社会保険(後述)と、公的扶助(生活保護など)、社会福祉(児童・高齢者・障がい者の福祉のための施設提供・在宅ケアなど)、公衆衛生(感染症予防、清掃などによる国民の健康維持・環境整備)の四つで構成される。
社会保険は、病気・ケガ・老齢・失業・労災・要介護で困った人々に現金やサービスを給付し生活を保障するしくみのことだ。医療保険・年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険がある。日本は1961年に誰もが医療保険に加入する国民皆保険の体制になった。老人の医療費負担は一時期無償だったが、だんだん重くなってきている。年金も1961年に国民皆年金制度となり、1986年から基礎年金制度が始まる。日本は受給者が自分の積み立てた資金をもとに年金を受け取ることになる方式ではなく、今の年金を現役世代が負担する方式である。また、原則65歳以上かつ要介護認定を受けた人が介護サービスを受けられるのが介護保険だ。社会保険のしくみや実態、今後の在り方についてはしっかりと知って考えていく必要があると思う。
日本の少子高齢化・人口減少社会の動向に対してどのような社会をきずいてゆけば人々が人間らしく「健康で文化的な」、幸せを実感できるようになるかを考えることは、大変重要なテーマだと思う。障がい者も高齢者も、健常者も若者も、生きやすいようなノーマライゼーションしゃかいを実現しなくてはならないといわれている。施設等のユニバーサルデザインがもっと広がることも必要だろう。多様な人々の様々な価値観や自由な生き方がお互いに尊重されるような、お互いの存在と意見が尊重され認め合いながらともに生きてゆける社会になればと思う。