新しい学びのカタチ
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そんな塾です
生物基礎

いきもののからだのしくみは

わたしたちのからだがどうなっているのかを知ることは、ある意味でもっとも身近なことといえるのかもしれない。でも同時にいきものってほんとうに不思議だな、よくできているよな、神秘的だなみたいな気持ちにもなる。生き物が広い宇宙のなかですくなくとも今わかっている限りは地球上でのみうまれたのはなぜなのか、というのは、限りない興味と好奇心をかき立てるテーマだと僕は思う。そのことを考えるうえでも、いまある生き物とくに人間がどういうからだのしくみをしているのかを勉強するのは決して意味のないことではないと思っている。そしていきものについて知るということが、生き物たちへの畏敬の念をもち、生き物たちとそれをとりまく環境を大切にしたいという思いや、自分や他者のいのちを大事にしなくてはというおもいにもなっていくのかもしれない。
私たちの体には、体内環境の変化を敏感に察知し、体内の状態を一定に保とうとする仕組み、ホメオスタシスがある。細胞が正常に生命活動を営むためには、血液などの体液を循環させるとともに、体外との物質交換を効率よくおこなう仕組みが必要だ。
ところで、ホルモンって何だろう。ホルモンとは体液の循環によって情報を伝達する化学物質と定義される。このホルモンが各器官の機能を調節させることで恒常性を支える。
グルコース(ブドウ糖)はヒトの細胞にとって主要なエネルギー源だ。血液に含まれるグルコースを血糖といい、その濃度を血糖濃度といっている。これは、すい臓のランゲルハンス島(ぼくの高校の時の生物の先生がこのなまえをとても気に入っていた)や間脳の視床下部によって常に感知され、調節が行われている。血糖濃度が高い状態がつづく病気が糖尿病だ。
免疫 ヒトの体内に侵入して感染症の原因となる細菌やウイルスなどを病原体という。私たちの体には、このような病原体の侵入の脅威から身を守る生体防衛の仕組みすなわち免疫が備わっている。異物を取り込む食作用などの、即座に様々な病原体に対して幅広くはたらく免疫を自然免疫とよぼう。それだけでは対応できないものを認識して排除するのは獲得免疫と呼ぼう。これは、体内に侵入した抗原の情報を記憶して、再び侵入してきたら素早く強力にはたらいて、抗原を排除する、というしくみだ。このうち、体液性反応は、抗体を分泌して排除するもの。しかしながら細胞内まで異物が侵入してしまうと、これに感染した細胞ごと排除する、細胞免疫がはたらく。ところで、臓器移植を行った際にもおなじしくみがはたらくのだが、これが拒絶反応だ。また、いったん血が出ても、血が出続けて死なないように、血液凝固によって傷はふさがれていく。
人間はこの免疫に仕組みを利用して予防接種をおこなうことでいのちにかかわる感染症の発症を予防できるようになっていった。他方で、免疫の仕組みに異常が起こったら、アレルギーをはじめとした体の不調や疾患が起こってしまう。平素は免疫がはたらく必要がない「非自己」の物質に対して、過敏に免疫がはたらいてしまい様々な症状をひきおこすのがアレルギーである。アレルギーの原因となる抗原のことをアレルゲンという。突然の血圧低下と呼吸困難で生命を脅かすようなアレルギーをアナフィラキシーという。また、自己自身の正常な細胞や組織に反応して攻撃してしまうことで生じる疾患を自己免疫疾患という。ほらね、体の仕組みをしっておくと、体調が悪くなった時や病気になったときに対処のしようがわかってくる。ぼくらのいのちにかかわる、大事な知識だ。

2024/8/18