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倫理

ひとこと日本近代思想史

 江戸の儒学 林羅山は自然に秩序があるように社会にも上下の秩序があるといって幕府の御用学者になった。山崎闇斎は一つ一つの行いをつつしむ敬という道徳を主張した。他方で、中江藤樹は儒教の孝を親だけでなく様々な人間関係に及ぼすべしといった。山鹿素行は日常の実用的な道理が大事だといって孔子に直接学べと言った。伊藤仁斎は論語・孟子のもともとの意味を明らかにすべしとした。荻生徂徠は孔子孟子の時代の言葉の意味をしらべて学ぼうと言い、儒学の目的は世を治め民を救うことだといった。
 明治以降 福沢諭吉は、独立した個人がいてこそ国は独立できるとした。内村鑑三は日本の武士道においてこそキリスト教は生かせるといった。北村透谷は「内部生命」の要求を内面世界に実現するとかいって利益追求に堕した現実世界に対抗しようとした。
 与謝野晶子は官能を表現し旧来の道徳的束縛から脱しようとした。森鴎外は、日本の社会と自我との矛盾の解決を、諦念の境地に求めた。夏目漱石は自己中心主義ではない、自他相互の自由を尊重する個人主義を目指した。白樺派は個人主義とキリスト教を基調として、人間性を信じ理想の実現を説く人道主義の運動も展開した。
 西田幾多郎は西洋哲学の主観と客観の対立、物質と精神の対立を、純粋経験という直接的な経験によって超えようとした。和辻哲郎は人間は個人としてだけでなく人と人との間柄としてもとらえられるとした。丸山眞男は日本には成り行きに任せる、といった主体性の確立を阻むような思考パターンがあると主張し、主体性の確立をめざした。以上、自分が恣意的にピックアップした日本思想史。

2024/8/15