新しい学びのカタチ
生徒が自分から取り組み、
「したい」を〈できる〉にする力をみんなで身に付けていく
そんな塾です
科学と人間生活

生活に即して理科を学ぶ

発酵 発酵とは、微生物の働きによって、酵素を利用せずに有機物が分解される反応のことを言う。これが悪臭を放ったり人間に有害な物質を生んだりするのは腐敗である。しかし、発酵は歴史的に人間に多くの便益をもたらしてきた。酵母菌などの微生物は、糖をエタノールと二酸化炭素に分解するが、これがアルコール発酵だ。コメは日本酒、麦芽はビール、ブドウはワインになるし、パンもアルコール発酵でできる。乳中の糖が分解されて乳酸ができると、チーズやヨーグルトにもなる。
微生物 人の腸内には多くの常在菌が生息している。これが外来の病原菌の定着を防ぐのに役立つ。また、抗生物質というのは、微生物によって作られる、他の生物の生育や機能を阻害する物質のことだ。これが感染症の治療・予防に役立っている。ペニシリンとかストレプトマイシンは歴史的大発見で多くの人命を救ってきた。微生物はほかにも、工場の汚染物質を吸収したり、農地の塩分を除去したりと、人間の住む環境づくりにも役立てられる。もちろん、人にとって有害な微生物は避けなければならないし、生態系のバランスを人間の活動によって壊すような微生物の発生のさせ方(たとえば汚染物質を垂れ流すことで特定の微生物を大量増殖させること)はよくないことだ。微生物と共存するためには理科の知識と適切な配慮が必要だろう。
金属 私たちは、鉱物を含む鉱石から金属を取り出して利用している。多くの場合酸素や硫黄と結びついているのを製錬している。密度が大きい金属は重金属、小さいのが軽金属だ。さびやすいのが卑金属、輝きを失わないのが貴金属。金属は、原子が規則正しく積み重なってできている。一部の電子が原子から離れて金属の中を自由に動き回っているのだが、これが金属どおしを強く結びつける。不思議だ。鉄は鉄鉱石、銅は黄銅鉱など、アルミニウムはボーキサイトから製錬される。また、合金というまぜあわせを作り出して、さびにくいなどの新たな長所をもつ金属を人間はたくさん利用している。
プラスチック 大きな環境問題の要素になっているが、プラスチックは小さな分子が非常にたくさん結合してできたた巨大な分子、高分子化合物の一種である。石油を原料として、人工的に作られた高分子化合物に、可塑剤という柔軟性・加工性を加えるものなどを混ぜてつくられた材料だ。熱すると柔らかくなり冷やすとまた固くなるもの、熱すると柔らかくなるもの、がある。さらに現在様々な機能をもつプラスチックが開発され、スマホのタッチパネル、人工透析膜(血液中の老廃物をとりのぞく)、紙おむつ(大量の水をとじこめる)などに利用される。あるいは土の中で分解されるものも開発されている。
繊維 人間は植物のワタから綿繊維を、蚕の糸から絹を作り、20世紀にはいって化学繊維をつくってきた。いろいろある。
食べ物 ご飯やパンは炭水化物の一種であるデンプンを多く含む。人は体内でデンプンをつくることはできないので、食品から摂取するしかない。デンプンは、体内でブドウ糖にまで分解されて、エネルギー源になる。ヒトの体の筋肉などは主にタンパク質からできているが、そのタンパク質はアミノ酸が多数結合した高分子化合物でもある。また、タンパク質は、炭素・水素・酸素・窒素原子を含む。アミノ酸が結合してタンパク質が合成されるのを、ペプチド結合という。つづく。

2024/8/15